JAPON(JPONC)事務局がやりたかったこと
そして出来なかったこと
-休止の理由-

最初からPONという犬を知っていて、色んな事を調べてから飼うと決めましたか?

こう聞かれて「はい」と言う人はあまりいないと思います。

では何故PONを選んだのでしょう。

何となく目が合ってしまったから?
可愛らしい外見が好みだったから?

理由は色々あると思いますが、きっとそれはタイミングだったんだと思います。
一日、もしくは数時間でも違えば、そのタイミングはずれていたかもしれません。
一期一会で通り過ぎる出会いもあれば、一生の付き合いになる出会いもある。
そういう意味で、それぞれの犬との出会いは必然だと、事務局は言い続けてきました。 

諸外国のポンクラブがブリーダーを中心とし、一般オーナーを含めた人々で支えられた形態を取る中、JAPON(JPONC)はいわゆる「PON愛好家」の集まりという形で発足しました。

それ故、ブリーディングを念頭に置いた犬種の質の向上や、遺伝的疾患淘汰の取り組みに積極的な働きかけをしてこなかったのです。
飼い主それぞれが問題意識を持ち、安易な場所や不適切な繁殖者から子犬を購入することのないよう、働きかけていくことが重要だと考えていたからです。

第一段階としてはメンバーを募り、今あるPONの現状(データ)を情報交換という形で発信していく事が大切だと思っていました。
それを踏まえた第二段階として、継続的な情報発信で各オーナーの意識が向上し、それがPONという犬種の質の向上に繋がることを期待したのです。

しかし蓋を開けてみれば、長年に亘るブリーダーによる言論統制に怯えたオーナー達から提供される情報は少なく、あったとしても掲示板炎上というお粗末な状態。
何かがおかしい。間違っている。
そんな現状を看過するしかなく、やりたかったこと(正確な情報の収集と発信)ができない状況に事務局は頭を抱えていました。
そのうち、意図的に曲げられた情報や、間違った見解に振り回された問い合わせに忙殺されるようになっていったのです。


ネット環境が現在のように整備されていなかった90年代は、ペットショップで犬を購入するのが普通でした。ブリーダー情報誌などで探す人の方が少なかったのではないでしょうか。
誰もが普通にパソコンを持つ時代になって、私達は犬種別に専門犬舎があることを知るようになりました。そこから、希少犬種はブリーダーから直に購入する形態が、次第に定着していったのです。PONも例外なく、店頭販売されることが無くなっていきました。

ところが昨年よりペットショップにて簡単に購入することが出来るようになり、問い合わせは180度様相を変えて更に増加。
時間的に対応不可な状況にまで追い込まれるようになっていきました。


ペットショップ否定は、そこで購入したことへの負い目を感じさせてしまうかもしれません。
どこで購入しようとも可愛がらない人は可愛がらないし、捨てる人は捨てます。
大切に育てて最期の最期まで愛しぬく人もいます。

しかしどんな母犬・父犬から生まれたのかわからない店頭販売で購入すれば、いざという時の責任の所在はペットショップとなります。
飼い主とブリーダー間に関係はありませんから、どんなクレームを入れても「命の(犬の個体)交換」を提言されるだけです。

確かに日本では、店頭で一目惚れした仔犬をその場で家族に迎え入れることができます。そして、多くの日本のオーナーたちは、その子がたとえ遺伝疾患をもった仔犬だったとしても、出会いに感謝し慈しみます。病気も運命として辛抱強く受け入れ、愛情を注ぎ込むのです。
ですが、遺伝疾患の繁殖ラインを止める行動に出ることはありません。
個に対する思い入れが強く、犬種に対する思い入れが希薄なのかもしれません。
一緒に生活するようになってから、その犬種の面白さにはまっていくという感じでしょうか。
しかしうちの子が可愛いいというだけじゃなく、犬飼いとして私達にはどんな責任があるのかをこの機会に知っていただきたいのです。

誤解しないでいただきたいのですが、今生まれている命がどうこうと言っているのではなく、これから生まれてくる(生産される)命の事を言っているのです。

必然的な出会いへの感謝で、店頭販売やとんでもないブリーディングを受け入れてしまうのは間違っていると言いたいのです。
だからこそ、ブリーダーから対面方式の直接購入をしていただきたいのです。
自分の犬が愛しいと思えばこそ、その種の将来を考えるようになって欲しいのです。
ひいてはその犬種の品質の向上に結びつき、無用な命の淘汰という悪の連鎖を断ち切ることができるわけです。

疾患が出るのを承知でブリーディングしている業者に対してあなたはどう考えますか?
それは種を管理・繁殖していくブリーダーが負っている責任であって、犬を購入する側の私達は何もできないと思っているんじゃありませんか?

そんなことはないんです。

飼い主が声高に、種としての不正なブリーディングを糾弾することで、ポリシー無きブリーダーを排除することができるのです。
ペットショップ相手では、遺伝疾患を指摘し繁殖の是正を求めることはできません。


海外オーナーは犬種にこだわりをもち、ブリーダーを選び、予約をして、数ヶ月の時を経て家族に迎えいれます。家族の一員として犬にかける愛情はもちろんですが、オーナーとして所有する犬種に対しての責任も問われます。
ですから、仔犬に遺伝疾患が見つかった場合にはブリーダーに知らせ、繁殖のラインを止めることが責任だと考えています。


そういう意識の高さはとても大事だと思いますし、日本でもこの10年で革新的な意識改革が行われてきたように思われます。
愛犬(好)家の意識向上は目覚しく、医学の進歩と結びつくことで喜ばしい傾向が見られるようになりました。

数年前、朝日新聞の記事の中で、ある犬種のブリーダーによる遺伝疾患撲滅の取り組みが紹介されていました。その記事を見つけることはできませんでしたが、以下の記事に似た内容だったので、参考までに貼り付けておきます。

https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/pJv0I670Lk

「オーナーレベルでも志を同じくすれば注意を喚起できるんだ!」
「ブリーダーが繁殖犬の検査結果を率先して公表する時代が来た!」
と嬉しくなったものです。

JAPON(JPONC)は愛好家の集まりではありますが、最終的にこういったものを目標として設立されました。

ところが日本のPONは、時代に逆行するかのような事態になっていたのです。
現時点で生まれて来ているPONの90%は先天性心疾患のDNAを受け継いでいて、いつその症状が出てもおかしくないという現状になっていました。
参照:日本のPONに多い健康問題 心臓疾患

JAPON(JPONC)に来る問い合わせの数と内容を鑑みると、尋常ではない回数の交配で生産されるPONの子犬の登録は今後激増すると思われました。
実際可愛い子犬なのですから「可愛い可愛い!」と賛美することになります。
それが更にパピーミルに拍車をかけることになっているのならば、JAPON(JPONC)は方向転換しなくてはなりません。

一旦活動を休止し、PONという犬のプロパガンダを止めることが最善だと判断した次第です。

事実を知りつつ、もっと早くこの問題に取り組んで来なかったことが、こういう現状を作り上げてしまったことを陳謝致します。大変申し訳ございませんでした。

これを以ってJAPON(JPONC)の休止を宣言させていただきたいと思います。

2010.07.01 JAPON(JPONC)
事務局一同  

※メンバー登録をしてくださっている方に限りましてはお問い合わせ・ご相談にお応えさせていただきます。何かございましたらご連絡をいただけたらと思います。


▲Home